法人税法計算早わかり辞典TOP

法 人 税 の 基 礎

このページでは、各計算項目の基礎をご紹介しています。

【圧縮記帳の概要】
 圧縮記帳は、譲渡益等に課税されては困る場合に、その譲渡益等を課税されないようにする税法特有の技術的な計算規定です。

【具体的な仕訳】
 次の仕訳により、所得金額と現金がどのようになっているかを考えてみてください。

[所有土地を譲渡したときの仕訳]

(現   金)1,000円(土   地) 300円
           (譲 渡 益) 700円


[代替土地を取得したときの仕訳]

(土   地)1,000円(現   金)1,000円


 この場合、譲渡益700円については、課税所得となりますので、法人税が課税されます。

 700円×30%=210円

 ここで、課税される法人税210円を納税するお金を確保しようと思えば、土地を1,000円で取得することが困難となりませんか?
 つまり、上記のままで1,000円の土地を取得しようと思えば、210円の現金を他から工面しなければならなくなります。

 単位が小さいので、ピンとこないでしょうが、上記の単位を円でなく、億円にしてみてください。210億円の現金を用意できますか?

 これが、その法人の事情で譲渡・取得を考えるのであれば、210億円の税金の工面を考えて譲渡・取得を実行する必要がありますが、仮に国から強制的に土地を収用されたりした場合には、法人にとってあまりに酷なお話とはならないですか?

 圧縮記帳は、そのような一定の事情がある場合や租税政策上の理由から一定の事項に該当する場合には、譲渡益部分の損金算入を認めた規定となります。


[所有土地を譲渡したときの仕訳]

(現   金)1,000円(土   地) 300円
           (譲 渡 益) 700円


[代替土地を取得したときの仕訳]

(土   地)1,000円(現   金)1,000円


[圧縮記帳の仕訳]

(土地圧縮損) 700円(土   地) 700円


 これで、当期の所得金額は0円となりますので、210円の税金を工面する必要はなくなりました。

 圧縮記帳にはいろいろありますが、会社が損金経理した金額のうち一定の(各圧縮記帳により違う)限度額に達するまでの金額の損金算入を認めています。


【課税の延期制度】

 圧縮記帳は、その適用を受けた事業年度については譲渡益が課税されませんが、これは税金が減免されたわけではありません。

 圧縮記帳の適用を受けた資産の帳簿価額は、上記の例ですと、300円となりますので適用を受けた場合と受けなかった場合では、その資産を譲渡したときに、それぞれ課税所得が次のようになります。


[適用を受けた場合]

※土地の簿価300円
※2,000円で譲渡

(現   金)2,000円(土   地) 300円
           (譲 渡 益)1,700円

※税金・・1,700円×30%=510円


[適用を受けなかった場合]

※土地の簿価1,000円
※2,000円で譲渡

(現   金)2,000円(土   地)1,000円
           (譲 渡 益)1,000円

※税金・・1,000円×30%=300円

[税金の差額]

 510円−300円=210円


 そうです。圧縮記帳の適用を受けたことにより課税されなくなった210円は、譲渡をした事業年度に課税されることとなります。

 この資産が減価償却資産である場合には、圧縮記帳適用後の事業年度における減価償却費が少なくなりますので、減価償却を通じて課税の取り戻しがおこなわれます。



※適切でない表現や間違いに気づいた場合その他の場合にはお断り無く修正いたします。

法人税法計算早わかり辞典TOP

Copyright(C) 小谷羊太税理士事務所